1．痛くない治療
カウンターストレイン療法は「らくな姿勢にもってゆく」ので、急性のケガや慢性の痛み、子供の側彎症や老人の骨粗鬆症、あるいは手術後の痛みや神経痛のような二次的な痛みなど、さまざまな疾患に利用できます。この技法は患者にやさしい治療なので、患者のからだを傷めることがありません。

2．捻挫など、急性の治療ができる
カウンターストレインは無理のない治療法なので、急性の患者にも使えます。患者のからだをゆっくりと痛みの消える方向へ持ってゆき、可動域の範囲内で、痛みのまったくない姿勢をつくります。治療者は組織の緊張がゆるむのと圧痛が消えるのを目安にして、もっともらくな姿勢を見つけます。患者の主観的な痛みは劇的に消失し、筋肉のガードがゆるみ、炎症性の漿液のむくみが減少します。神経の異常反射が取れると、血流がよくなり、自然治癒力が増します。

3．老人、子供にも安全
カウンターストレインの治療はソフトなので、からだが弱い高齢者の痛み（関節炎や骨粗鬆症など）や、妊婦、幼児などの治療としても安全で効果的です。痛みがらくになれば体操やリハビリが行えるので、患者はどんどんよくなります。

小児の側彎症の場合は、その変位を誇張する姿勢をつくると大体うまくゆきます。痛みがなくなる方向にからだを動かすのだから、子供も協力してくれます。来院時の姿勢とよく似た姿勢をつくり、それをほんの少し誇張するだけでいいのです。

4．慢性疾患、古い障害もなおる
もちろん、カウンターストレインは慢性疾患の治療にも大いに威力を発揮します。その理由は２つあります。第１に、圧痛点を検査して患者の訴える痛みの原因を正確にとらえます。第２に、長いあいだ異常収縮していた筋肉がゆるみ、正常な神経反射がもどるので、筋肉の力のバランスがとれて関節の動きがよくなります。

5．手術後でも治療できる
関節の可動域が小さい患者（癒着を伴う関節のう炎、脊椎分離症、手術後など）でも、カウンターストレインで痛みや筋緊張が取れます。らくな姿勢は、可動域の範囲内に見つかるはずです。可動域はだんだん広がり、動きがよくなります。そうすれば、リハビリが行いやすくなり、可動域が最大限に回復するでしょう。

6．炎症性の痛みを鑑別できる
カウンターストレインの圧痛点は、炎症（腱炎、滑液のう炎、筋膜炎、肋軟骨炎など）を鑑別する手段にもなります。カウンターストレインの圧痛点は、ほとんどが「見かけの炎症性の痛み」です。らくな姿勢にもってゆけば圧痛が取れてしまうからです。そうでない場合、実際に炎症があると疑います。

たとえば、上腕二頭筋の長頭や短頭に圧痛があっても、それは見かけの上腕二頭筋炎である可能性が高いのです。足底の踵骨前面に出る圧痛点は、まるで足底筋膜炎のようにみえます。橈骨頭の圧痛点は上腕骨外側上顆炎の圧痛に似ています。

本当の炎症があるかどうかは、患部をカウンターストレインの治療姿勢に持ってゆけば判明します。問題の腱や滑液のうの圧痛が完全に取れ、中立位に戻しても痛みが再現しなければ、痛みの原因は炎症によるものではなく、筋肉の異常反射と考えていいでしょう。

もし実際の炎症があったとしても、カウンターストレインの治療で反射異常を取り除いてしまえば、筋肉の緊張がなくなり、漿液のうっ滞が減少し、からだの自然治癒力が発揮しやすくなります。

手足の拘縮があり、その組織の圧痛点に圧痛があるとき、抵抗運動をさせてもふつうは力が落ちないこの点が炎症の場合と違うのです。